2019/05/15 08:55
本日もブログにご訪問くださり、
ありがとうございます。
アトリエ陶喜の辻本喜代美です。
陶でオブジェを作ることの多い私は、
展覧会の最中など
よくこんな質問を受けます。
「どういう発想でこの作品を作ったのですか?」
という質問です。
確かに。
私自身もそういう質問を別の作家さんにします。
ちょうど先日も、
抽象と具象の中間要素をモチーフにした
ファンタスティックな画風の画家さんに
そんな質問をしたばかりでした。
やはり作るものもそうですが、
見るもの、聞くもの、読むもの
全てにおいて、
この好みは共通するものです。
最初に陶芸を始めた頃は
器作りに興味があって
それを作る上での物語などは
考えなかったと思います。
ただ、以前のブログでも書いたように
理由も分からずにそこに刻む模様は
好きでした。
そこに物語の存在を意識し始めたのは
やはり美大生になり卒業間近な頃でしょうか。
「なんだかこういうのが好き〜。」
みたいな感覚で
私は昔からプリミティブな世界のものに
妙に惹かれておりました。
アボリジニとかナバホ族の陶器とか
ケルトやインカなど。
こういう名称は後から知ったもので、
きっと幼稚園生の頃から
そこに辿り着く模様は好きだったのです。
よく図鑑を見て過ごしている子供でした。
大人になって、
「何でこういうものに惹かれているのだろう?」
と思うようになり、
美術史の授業などで学んでいった結果
それぞれの模様には意味があったり、
それぞれの形は各文明の起源を伝える
物語を伝えるものだったり。
そして
ここから先は好みの反映になりますが、
やはり私は、ギリシャ神話や
北欧神話やケルトの話が好きでした。
一人っ子の私は
テレビっ子として育ち、
よくテレビで放映していた
再放送の映画番組を見ていました。
それは相当、後の好みに影響しています。
アルゴ探検隊の大冒険
シンドバッド虎の目大冒険
アトランティス七つの大陸
天地創造
タイタンの戦い
こういう物語の中で
ちょこちょこ出てくるアイテムたち。
例えば
コルキスの黄金の羊の皮
女神アテナが飼っていた
機械仕掛けのフクロウのブーボ
そういう存在が
私の作品の中で物語のイメージを広げていく
助けとなっています。
(獏はずっと作り続けているモチーフの一つ)
こうして思い起こしてみると、
私にとって陶でオブジェを作ることは
例えるなら
ファイナルファンタジーや
ドラゴンクエストなどの
ロールプレイングゲームをしているような
感覚があるのかもしれません。
(といっても、それらゲームは
ほぼプレイしたことがないのですが。)
ある時
パッと、作品の主人公にチョイスすべき
登場キャラクターが佇む風景が浮かび、
そこには長くて深い物語はないものの、
「ああ!この風景が見たい!」
と鮮烈に思って作り始めるのが
私のスタイルとなりました。
なので、下書きなどはほぼしません。
と、昔は言えたのですが、
今は軽くします(笑)
忘れちゃうので(苦笑)。
これからもきっと
私の作品が生まれる前には
その誕生に繋がる物語が存在し、
取り上げるモチーフは
その物語の扉を開く案内役。
そして続く物語は
作品を通して
作者からお客様に受け継がれ
それぞれの想いがエッセンスとなり
新しい物語へ発展していく。
そのスタイルが
私らしい表現と感じています。
陶で綴る喜びの物語を
作品という種で蒔いていけたら
幸せです。
今回のブログをご一緒に楽しんでくださり、
ありがとうございました。
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