2018/07/01 11:02



このたびはアトリエ陶喜のブログにご訪問くださり、

ありがとうございます!

陶芸家でペン画家の辻本喜代美です。

このブログの最初の1ページ目は、
私と陶芸が出会った日のことを
お話しいたしましょう。

幼い頃、大好きなのに
絵がヘタクソでした。

だから恥ずかしく思っていました。
美術大学への受験を決めてもヘタクソで、
「君はデッサンがヘタだ。」と先生に言われ続け、
次第に絵を描く事が怖くなりました。
でも、何かをカタチにしたいとずっと思っていました。

大学浪人時代。
漠然とデザイン科を目指していた私が、
父方の祖父母の家の裏の廃校で、
目黒雅叙園の美術品修復を一堂に手がける現場に遭遇し、
初めて見た工芸という分野と
象嵌という技法で施された
螺鈿の模様の美しさと
面白さに釘付けになりました。

一つ一つは地味な作業なのです。
しかし、ワクワクで胸がいっぱいになりました。

東京に帰り、
相変わらずデッサンは上達せず、
それでも初めて見た工芸という世界が忘れられずの日々。
そんなある日、ふと足が向いて入った
アートギャラリーで陶芸に出会いました。

私のであった作品は伝統的な雰囲気でない
モダンな模様が刻まれていました。
それが象嵌という技法であることを知りました。
「あの螺鈿と同じ象嵌!」
一つの糸が繋がりました。
私が心惹かれていたのは文様を刻む魅力だったのです!

幼い頃、土遊びや砂遊びが好きだった私。
土(陶)に刻む文様装飾。その時、
陶芸を学ぶことを決めました。

粘土という勇気的な物体は
当時の私の伝えたい気持ちを、おおらかに、
そのまま形に受け止めてくれました。
そして大学時代から迷わず陶芸作家を夢見て
アルバイトで貯めたお金で卒業と同時に
陶芸窯を買いました。その時の窯は今も現役です。

若い頃はアーティスト色の強い先輩の影響で
随分背伸びもしました。
建物に作品を納めるチャンスなど
貴重な体験もしましたが、背伸びが祟り、
心のバランスを崩すこともありました。

その時、脳裏に浮かんだのは
大好きだった美しい文様と
文様を刻む楽しさ。
忘れかけていた原点でした。

土はこの時もおおらかに
私の気持ちを受け止めてくれました。
こうして生まれたのが、
現在私がメインで手がけている穏やかな白い色と
デコラティブな装飾を刻む作風です。
(大天使や招き猫のシリーズなどが代表作です。
実際の作品は公式ホームページでご覧頂けます。)

屋号:アトリエ陶喜とは、
その名の通り
「陶芸を楽しみ、喜びの時間を分かち合いたい。」
という思いを込めて、
陶芸のと私の名前の一文字のをとって命名しました。

私が作品を作る時。
それは何かの物語が降りてきた時。
私が受け取り、感じ取った物語は
誰かのもとで新しい物語として繋がり育つ。

土(陶)という土壌に蒔いた物語りの種。
私の作品はその種です。

陶芸を通して、作品を通して、
たくさんの人たちと一緒に
喜びの種をつなげていきたい。

その思いが、私の創作の原動力です。

アトリエ陶喜・辻本喜代美