2018/08/13 15:12

こんにちは。
ご訪問いただき、ありがとうございます。
物語をカタチにする陶芸家
辻本喜代美です。

ある日、こんなお誘いをいただきました。

「辻本さん、招き猫を作ってみない?」と。
正直私は「エ〜ッ!!」と思いました。
なぜなら私は根っからの犬好きだからです。
しかも耳のピンとたった柴犬&雑種ワンコ。
さらにゴメンナサイ。
猫ちゃんの魅力というものに
いまいちピンとこない気持ちがありました。

そんな私が、猫を作る・・・。

まず最初に私は猫にまつわる逸話を
調べてみることにしました。

私が作品を作るときは大抵、
そのモチーフが持っている
背景のストーリーを
調べることから始めます。
いわば文章から
形のイメージを起こす
スタイルです。

猫について調べると、
その歴史は古く、
縁起良き動物として数々の逸話を
世界各地に持っていました。
中でも中国に伝わる言い伝えで、

「丸々と太った御饅頭のような猫は、
富と幸せを呼び込むと言われ縁起が良い。」

という話でした。
この逸話を見つけた時、私の頭の中は、
横浜中華街の肉まんの名店「江戸清」の
巨大肉まんを体にする太った猫の姿が
バーン!!とイメージに浮かびました。

こうして生まれたのが
「福福招き猫」です。

福福という表記の仕方も
中国ではおめでたい文字を
二つ重ねて銘記する習慣があることから、
あえて福福にした次第です。

この猫がデビューして今年で3〜4年経ちます。
思い起こすと、私の作品をお求めになるお客様は
大抵、お誕生日や開店祝い、新築祝いなど、
人生の大切な門出とセレモニーのシーンに
贈り物としてお求めになる方が
大変多いことに気がつきました。

「作品を通して物語が、
しかも祝福の物語が続くって、な〜んて素敵!
そうだ!これからは幸せのストーリーを
背景にもつ主人公たちをテーマに
作品を作っていこう!」

私は次第にそう思うようになり、
今に至っています。

未だ、リアル猫ちゃんの魅力については、
ゴメンなさい柴ワンコ愛強さゆえ、
いまいちピンときていない私なのです。

でも猫ちゃんたちの歴史背景がもつ
幸せな逸話たちは、私の心を捉え、
数々のインスピレーションを与えてくれました。

「福福招き猫」
これからも、一匹一匹、
大切に愛でながら作ってまいります。

あなたの幸せのを願う
大切なお供となりますように。



*アトリエ陶喜について→「アトリエ陶喜への物語」